サラリーマンの自分が農家さんに話を聞いて農業に関する情報を公開する理由
この記事をお読みいただいている方は今現在何かしらの理由で農業に興味のある方ではないでしょうか?
この記事では
仕事としての農業
に興味がある方に向けてプロの農家さんに聞いた仕事、収入、楽しい事や辛い事、その他のよもやま話など、就農するにあたり参考になるであろう話をまとめてみました。
農家に縁もゆかりも無い普通のサラリーマンの自分が就農を考えた時に圧倒的に不足していたのが情報です。
いわく農業は
-
3Kだ!(3K=きつい、汚い、危険の頭文字を取って)
-
収入が低い!
-
自然相手なので収入が安定しない!
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朝から晩まで働き詰めだ!
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休みが無い!
というような話は良く聞きますが、ホントなの?実際はどうなの?というような疑問を解決したく、いろいろな農家さんに質問をしたり、お話を聞いてきました。
その結果を少しでも農業に興味のある方々にシェアしたいと思い記事にいたしました。
この記事が農業を始めようとしている方の不安を少しでも解決出来るお役に立てば嬉しいです。
自分もまだ就農もしていない普通のサラリーマンですので、農業の現実に関する疑問は今も一杯あります。
今後逐次、参考になるお話を聞けたらアップデートしていければと思います。
(※農家といっても、”サラリーマン”というくらいの大きな括りですので実際は農家さんにも当然その規模、栽培する作物、地域、方針など、いろいろな農家の人々がおりますので、ご留意ください。また実際にお話しいただいた内容を可能な限りそのまま記載をさせていただいておりますが、あくまでその方の主観となります)
就農に向けて悩んでいる人はこちらの過去記事も参考になれば↓
農業に関して聞くネガティブ&ポジティブな農家の情報
「男はつらいよ」ではなく「サラリーマンはつらいよ」という言葉を良く聞きますが、農業に関する意見も雑多にあり
個人的な印象では、どちらかというとネガティブな話の方が多いように感じますが、皆様はいかがでしょうか?
自分が良く聞く、見る話は下記のようなものでしょうか。
ネガティブ
- 農業は3K
- 収入が低い若しくは安定しない
- 仕事は朝から晩までで収穫期などは深夜、早朝の仕事は当たり前
- 休みが無い
- 災害等に収入が無くなったり、激減する事がある
- 腰痛になる
ポジティブ
- 自由
- のんびり仕事が出来る?
- やりがいがある
- 自然の中で仕事が出来る
- 面白い
- お金以外に得られる価値がある
農業/農家に関する正しい情報の入手
農業に関するイメージは信憑性のあるものから、知らない人が勝手に言っているだけのものまで、まちまちです。
現代はネットで検索をすれば、それらしい情報は簡単に手に入ります。
しかし情報が氾濫していて、その真偽の検証が難しくなってきています。
その中で本当に正しい情報を探すという事は容易ではありません。
では、どうすれば良いか?
自分の結論としては、”一次情報を入手する”です。
人から又聞きした話ではなく、直接の当事者に話を聞くというものです。
当たり前のようですが身近に農家の方がいない場合は中々難しいです。
自分の場合はたまたま、そういった機会に恵まれました。
ちなみに、これを読んでいただいている方にとっては自分が聞いた農家の方々の情報は二次情報になっております(;’∀’)
それを言ってしまうと元も子も無いですが、自分の考えとしては可能な限り一次情報に近い(二次情報でもOK)情報を収集するのが正しい情報を得るのに良いと考えております。
それと当然、その二次情報の発信者の信用性が問題となると考えております。
自分が信用出来るかどうか?というのを証明するのは簡単ではありませんが、本ブログを続けていく事とTwitterを通じて自分の意見や日常などを含めて発信していく中で、その信用を得ていければと思います。
また最終的には実際に自分が就農をするという事だと考えてます。
話が長くなってしまいましたので、そろそろ本題に移りたいと思います。
まずは私が週末お手伝いをさせていただいている師匠の野菜農家のKさんのお話から。
プロ農家に聞いた農業のお話(就農情報)
野菜農家Kさんの場合
- 場所:埼玉県比企郡滑川町
- 作物:野菜全般(小松菜、ほうれん草、ネギ、きゅうり、茄子、トマトなど)
- 出荷:ベイ〇アを中心にスーパーマーケットなど5か所程度へ毎日出荷
- 規模:本人、息子、パート1名~2名を週2,3回、不定期で息子の奥さん、私(土日週一回程度)
- 労働時間:朝9時~16時まで農作業、16時~18時出荷(昼間帯に出荷する事もあり)事務仕事等は必要に応じて夕方以降家で実施
- 休暇:大雨や台風の日、不定期(年末年始は無し=稼ぎ時であえてとらない)
・農業で食べていくのは大変だけど、埼玉県は人口も多いので地元のスーパーマーケット3~4か所と契約して売っていけば新規就農でも努力すれば、なんとかやっていける。
(埼玉県ではJAに出荷をすると安いし、小規模の新規専業農家だと食べていけない。)
・埼玉県は都心の一大消費地も近いので新規就農には有利。
・自分が契約しているスーパーマーケットの単価はある程度自分で決められるので大変な反面やりがいがある。
・農家に休みは無い。
(取らない。毎日小松菜などの野菜を出荷しているので、休めばその分、収入が減るし、野菜が成長してしまう)
・有機農業は大変だしすぐには食っていけない。やるなら慣行農業で相当な経験を積んでからやるべき。
(特に自分(筆者)を含む新規就農希望者はいきなり「有機農業をやりたい!」という人が多いが無謀との事。。。)
(Kさん曰く「自分のところに修行で来た人の7割が有機農業希望で、またその中でも7割がトマトをやりたいと最初は言ってくるが収穫までの期間が長いトマトはリスクが大きいし、それを有機でとなると更にリスクが大きい。やるなら葉物をお勧めするとの事)
・地方の農家は消費地が遠いので輸送費とかが掛かり野菜等の単価が安くなり大変だと思う。自分で配送するのも大変なのでJAに出荷という選択筋になると思うが更に段ボール代などでコストが掛かり大変なはず。
・農家は良くも悪くも全て自分の責任でやるので大変だが、何をやるのも自由。
・なんだかんだ食べていく事は出来る。
野菜農家Nさんの場合
- 場所:長野県上高井郡高山村
- 作物:キャベツ、白菜
- 出荷:JA
- 規模:本人、両親
- 労働時間:日が昇ってから、日が沈むまで
- 休暇:不明(冬は作業をしないので事務職のパートをしている)
・基本的に3人でJAのみに出荷をしており冬場は事務職の期間雇用をしており食べていける。
・農業での売り上げは安定しないが2017年は不作で400万円、2018年は800万くらい。夫婦、両親、子供二人の6人で問題なく生活出来ている。
・春から秋にかけてはしゃべりもせず、もくもくと朝から晩まで野菜作りをして、冬場は事務職の仕事をして良くしゃべるとバランスが取れていて良いのではないか。
・田舎なので、いろいろな役目が回ってきて忙しい。収穫などで忙しい時期も、その役目の仕事が回ってくるので本音を言えば休みたいが難しい。
・JAの資材は高いので基本的には他で仕入れているが、付き合いもあり営業に申し訳ないので肥料だけはJAから仕入れるようにしている。
・つらい事は特に思いつかない。しいて言えば屈むので腰痛が辛い。
果樹農家Tさんの場合
- 場所:長野県上高井郡高山村
- 作物:りんご、さくらんぼ
- 出荷:名古屋圏の大手スーパーとの契約栽培
- 規模:夫婦、ベテランのパート3名
- 労働時間:季節によりまちまちで難しい(夜間朝まで火を焚いている事もある)
- 休暇:具体的には聞き忘れました(-_-;)ただ、冬場にスキーに行ったり、海外旅行に行く人が多いそうです。
・丁度リンゴの花芽を摘む摘花作業の時期(5月)でしたが、この時期は朝から摘花作業をして夕暮れ時に引き上げるとの事でした。
・仕事のサイクルは大体一週間単位で変わるので飽きずにやっていける。
・「つらい事は何かありますか?」と聞いた時、長く考えた上で日常では特にないとの事でした。
(ただし「子供が育ってきた時期とお金のない時期(軌道に乗る前や台風被害の年など)が重なり苦労をかけて辛かった事はあるけどね」との事でした。)
・昔サラリーマンをやっていたが、その時と比べるとストレスは無い。
・それと契約栽培なので決まった量を必ず出荷する必要があり、そのプレッシャーはある。
(ただし安定出荷をして価格もある程度コントロール(言い値)出来るので現在は収入は安定している。)
・田舎なのでいろいろな役目が回ってきて、忙しい。
野菜農家Sさんの場合
- 場所:長野県佐久市
- 作物:きゅうり、茄子、ほうれん草、小松菜など
- 出荷:近隣の道の駅やスーパー他
- 規模:夫婦
- 労働時間:不明(聞き忘れました)ただ、やりがいがあって楽しいとの事でした。
- 休暇:冬場は比較的にやる事が少ない
・全国でも有数の道の駅に作物を出している事もあり作物は良く売れる。
・生活は現在、農業次世代人材投資資金の補助をもらっているが無くなってもやっていけると思う。
(出荷先がツテなどもあり増えてきている)
・友人を介して、チェーン系のレストランへの販売も近々開始出来そうとの事で収入の目途が立ちそう。
・周りの応援もあり楽しく仕事が出来ている。みんなとても優しいとの事。
(若くてやる気があり、また明るいキャラクターなのでみんながサポートをしてくれるのではないかと推測します。)
・冬場は現在栽培している作物が無いので比較的時間に余裕があるとの事も、現在ほうれん草など、葉物のハウス栽培などを検討中。
野菜農家Oさんの場合
(あまり時間が無く、詳しくは聞けておりません。)
- 場所:長野県佐久市
- 作物:きゅうり、茄子、ほうれん草、小松菜など(2020年は果樹にも手を出したいとの事)
- 出荷:近隣の道の駅やスーパー他
- 規模:一人
- 労働時間:太陽と一緒
- 休暇:聞けず
・佐久は気候が凄く良くて土地も肥沃なので種を蒔けば何でも育つ。逆にこれという名産が無い。
・気候が良いので土地の人が良くも悪くものんびりしている。自分は居心地が良いとの事。
・現在は農業次世代人材投資資金もあり食べるのに困ってはいない。
・お金が潤沢にあるわけではないので昔みたいに(元サラリーマン)買いたいものを買えないけど、その分、工夫して生活をしているし、自作したりするのも楽しい。
有機野菜農家Yさんの場合
- 場所:長野県下伊那郡阿智村
- 作物:有機栽培のきゅうり、茄子、かぼちゃ、枝豆、ネギ、人参など何でも
- 出荷:名古屋方面の有機野菜取り扱いスーパー及び阿智村役場の一括買取
- 規模:1.5人(夫婦)
- 労働時間:早朝から日が落ちるまで農作業。夕食後、夜まで梱包や出荷などの作業
- 休暇:あまりない
・夫婦と子供一人を含めた3人家族で生活は相当苦しく、余裕はないとの事。
・阿智村では有機の肥料などは安く手に入り、またブランド化してある程度、高値で売る事にも役場が力を入れてくれているが、名古屋の市場に出すと規格などもあり、中々難しい。
・畑はしっかり地元に根付いてやっているからか、向こうから「畑を買わないか?」とか「借りてくれないか?」とか来るので条件の良いところを整理して今後やっていきたい。
実際に農家の方々に就農/農業に関する情報を聞いてみてのまとめ
以上6名の農家さんに聞いたお話を記載させていただきました。
そこに何かしらの一貫性や傾向が見えればと思いましたが、それは統計データなどが自治体やJAなどの機関から出ていると思いますので、ここでは生の声を伝える事に重きをおき敢えて分析のような事はいたしません。
とはいえ、私なりに話を聞いていて感じた農家の良い点は
- いろいろと自由
- ストレス少ない
- 仕事が楽しい
- やりがいがある
- 家族との時間が多い
- 地域の方々との関わりが密接
- お金以外の価値がある
などで、悪い点は
- 収入が気候や災害などに左右され安定しない
- 収入が少な目?
- 周りの助けや援助が無いと初期投資は相当掛かる(勿論作物にもよりますが)
- 体力はそれなりに使う
- 繁忙期は相当忙しい
- 休みはやり方次第とはいえ、少な目?
- 田舎だといろいろと地域での役目がある(これはメリットにもなるかと思いました。)
かなと思いました。
それとこれは農業に限らないとは思いますが、田舎に住もうとすると(農業をやろうとする特に??)良くも悪くも地域との関わりは圧倒的に多く、密接だなと感じました。
それが嫌な人は田舎での農業は厳しいのかな?とも思いました。
また、今後も話を聞けたら追加していきたいと思います。
ではでは
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